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Review 2024.10.21

【Xシリーズレビュー】〜Ai.tと『X-T50』〜 未来の私とあなたへ、“なにげない瞬間”という一番の贈りもの

母親だからこその目線で丁寧に切り取った写真が多くの共感をよんでいるAi.t(@ngs.rky.kuy)さん。Instagramに投稿される写真には、Xシリーズで撮影した写真とともに、お子さんたちの成長の記録が綴られています。『X-T20』をはじめ、『X-T30』『X-T4』と長年X-Tシリーズを愛用してきたAi.tさんに、今回はX-T2桁シリーズの最新モデル『X-T50』を使っていただきました。撮影で感じたその魅力、そしてお子さんの成長とともに変化していくカメラライフ、なにげない瞬間こそ写真におさめておくことの真価について、お話を伺いました。

Interview:Ai.t

――IRODORIに初めてご登場いただいたのは、2019年のこと。ご愛用の『X-T20』でお子さんを撮影する様子についてお話を伺い(インタビュー記事)、『X-T30』を使ってのコラム執筆にもご協力いただきました。その後、カメラライフになにか変化はありましたか?

一番大きな変化といえば、『X-T4』を購入したことです。ありがたいことにInstagramのフォロワーさんから「写真を撮ってほしいです」とご依頼をいただくことが増えて、今はファミリーフォトを中心に出張カメラマンとして活動させもらっています。その撮影用に『X-T4』を購入しました。これまで家族の記録として写真を撮ってきましたが、以前、原宿の『WONDER PHOTO SHOP』で個展を開催させていただいたことやファミリーフォトの撮影を通して、改めて写真って楽しいなと感じています。

X-T50 /XF90mmF2 R LM WR /F2.0 /1/2000秒 /ISO160
フィルムシミュレーション:クラシッククローム

X-T50 /XF90mmF2 R LM WR /F5.0 /1/4000秒 /ISO640
フィルムシミュレーション:Velvia

――ではぜひ、子どもを撮影するお母さん、フォトグラファー、X-Tシリーズユーザーと3つの視点から、『X-T50』での撮影について聞かせてください。まず、手にされての第一印象は?

ボディのサイズ感というところでいうと、これまで使ってきたX-Tシリーズとそこまで違いはないのかな? もともと私の手が大きいことと、丸みのあるグリップ部分の握りやすさもあって、納まりの良さを感じましたし、慣れ親しんだ感覚でスムーズに扱うことができました。もともとXシリーズを愛用している身からしても楽しく撮影できるカメラですし、ダイヤル操作でフィルムシミュレーションを選択できたり、液晶タッチでピントを合わせてオートで綺麗に撮れるというところでは初心者の方でも安心して使えるんじゃないかなと思います。大好きなXシリーズらしいフォルムはそのままに、より手軽に富士フイルムならではの写真を楽しめるカメラになったという印象です。

――ここからは、実際の使用感について撮影時のエピソードと一緒に聞かせてください。

今回は、夏休みに子どもたちと出掛けたときの様子を撮影しました。小さなころは1日に何十枚も撮っていたのに、成長するにつれて撮る枚数が減っちゃって、今では1日に1枚撮るかどうか。なので、こうしたお出掛けのときこそ、綺麗な写真で思い出をたくさん残しておきたいって改めて思うようになりました。なるべく構えていない姿を撮りたいのに、娘は撮影に慣れているのでカメラを向けると「ニコッ」とキメた感じになっちゃうし、息子はすぐに変顔をしちゃうんです(笑)。自然体を写せるのは、『X-T50』のようにパッとかまえても構図を決められるカメラだからこそだなと思います。

X-T50 /XF90mmF2 R LM WR /F3.6 /1/125秒 /ISO125
フィルムシミュレーション:Velvia

X-T50 /XF90mmF2 R LM WR /F3.6 /1/125秒 /ISO125
フィルムシミュレーション:Velvia

こちらの写真は、今回一緒にお出掛けした姪っ子です。これ、真剣な表情してますけど、ちょっと海が怖くて、離れたところからうちの子たちが遊んでいる様子を見ているところなんです。この絶妙な表情と、赤ちゃんならではの肌のプリプリ感は、撮っておきたいですよね。繊細な肌の質感と、風になびく細い髪の毛一本一本まで写し出せるのがXシリーズの醍醐味だし、本当に感謝だなって思います。

X-T50 /XF90mmF2 R LM WR /F2.0 /1/125秒 /ISO4000
フィルムシミュレーション:PROVIA

最近は、シルエット姿の写真が好きでよく撮っています。スマートフォンカメラの性能もどんどん上がっていますけど、こういう写真を撮ろうとするとピント合わせや露光の調整が必要ですし、それでも背景が飛んでしまったりしますよね。逆光を生かした写真がパッと撮ってもちゃんと絵になるのは、やっぱりデジタル一眼カメラだからこそだなって思います。しっかり真正面から撮ったものも素敵だけど、表情が見えないからこそ「このときどんな表情していたんだろうな」って、写真を眺めながら思い返す楽しみがありますよね。

X-T50 /XF23mmF1.4 R /F4.0 /1/2000秒 /ISO125
フィルムシミュレーション:Velvia

今回、フィルムシミュレーションダイヤルをくるくる回しながら撮ってみたんですけど、すごく楽しかったし、同じ景気でも色み次第で印象が大きく変わるので、「あれもいいなあ、これもいいなあ」という感じでたくさん撮ってみました。クラシッククロームとクラシックネガが好きで、いつも基本はそのふたつに設定しているんですけど、今回初めて使ったREALA ACEの温度感はあるけどパキッとしすぎない雰囲気もすごく好みでした。

X-T50 /XF23mmF1.4 R /F1.4 /1/250秒 /ISO160
フィルムシミュレーション:クラシッククローム


X-T50 /XF23mmF1.4 R /F1.4 /1/250秒 /ISO160
フィルムシミュレーション:REALA ACE

今の若い子たちの感覚でいうと、モノクロってエモいじゃないですか。なんでもない風景もモノクロにするだけで、ちょっとオシャレになりますよね。光が強かったりするとちょっとホラーっぽい感じになっちゃうんですけど、窓越しに光が入るくらいのシチュエーションだと陰影がはっきり出て、すごくいい感じに撮れるので、以前からモノクロは好んで使っています。子どもたちを撮るときは、ふんわり柔らかい質感が出せるACORSだとより相性がいいかなって思います。

X-T50 /XF23mmF1.4 R /F1.4 /1/250秒 /ISO160
フィルムシミュレーション:ACROS

陶芸をやってみたいという子どもたちと陶芸教室へ行ってきました。大きな粘土のかたまりからお皿を作るというもの。笑顔で動き回っているところを撮るのも楽しいですが、こういった真剣に取り組む横顔だったり手元の動きだったり、成長を感じられる一コマもたくさん撮っておきたいと思っています。

X-T50 /XF23mmF1.4 R /F1.6 /1/250秒 /ISO250
フィルムシミュレーション:PROVIA

X-T50 /XF23mmF1.4 R /F1.6 /1/250秒 /ISO500
フィルムシミュレーション:ASTIA

――お子さんの立場から見ると、「お母さんは、こういう目線で見守ってくれていたんだ」と写真の一枚一枚から愛情を感じられるでしょうね。

子どもたちが大きくなったら、結婚式とかで写真を流してほしいです、本当に(笑)。「うちのママが撮ってくれた写真、綺麗でしょ」って言われたいですよね。私もよくSNS用の動画をつくったりするんですけど、Xシリーズで撮った写真はつなげただけで感動的な動画になっちゃうんですよね。子どもが大きくなると寝かしつけの必要もなくなるので、夜によく写真や動画を見返しているんですけど、そのたびに「たくさん撮っておいてよかったな」って思うんです。本音を言うなら、もう一度1才や2才の頃の子どもたちに会いたい。けど、それは叶わないじゃないですか。でも、写真を見れば、子どもたちと過ごしてきた時間が蘇って、気持ちが満たされるんです。

X-T50 /XF90mmF2 R LM WR /F2.0 /1/125秒 /ISO4000
フィルムシミュレーション:PROVIA

――Ai.tさんが撮影したファミリーフォトも、そのご家族の宝物になっているでしょうし、今お話してくださったような想いは共通しているのかもしれませんね。

撮影でお会いする方のなかには、七五三とかお誕生日とか、なにかイベントがないと写真を撮らないっていう方もいらっしゃって。もちろんそれも素敵ですけど、家族で過ごす時間ってどんなときも愛おしいものだから、何気ないときこそ宝物になると私は思っています。カメラで撮った写真は大きく引き伸ばすことができるから、目に触れる場所に飾っていつでも眺められるんですよね。私もリビングにたくさん飾っています。

――“思い出をキレイに残す”というのは、いい画質でいい表情を撮っておくということだけではなくて、子どもたちと一緒に過ごした時間やそのときの感情を鮮明に記録するということなんですね。そのために力を貸してくれるのが、カメラの描写力や色表現なんだと作品やお話から改めて感じました。

やっぱりどうしても「ここに立って、ハイチーズ!」みたいな写真を私も撮りがちなんですけど、ただただ子どもが普段どおり過ごしている姿を撮ったものが、あとで見返したときに一番の宝物になる写真なんだろうなって、子どもが成長してきた今になってすごく思うんですよね。初めて『X-T20』を手にしてからもう8年くらい写真を撮ってきて、最初は顔面顔面!って感じだったんですけど、私が撮りたいのは愛おしいと思えるこの瞬間なんだなっていうことを、カメラが教えてくれたように感じています。

X-T50 /XF23mmF1.4 R /F4.0 /1/2000秒 /ISO125
フィルムシミュレーション:Velvia

text by野中ミサキ(NaNo.works)

Profile

Ai.t (@ngs.rky.kuy)

Instagramで14万人以上のフォロワーを持つ人気インスタグラマー。
2人のお子さん、渚ちゃんと昊也くんとの日常を中心に、家族の優しい時間が日々ポストされている。

Instagram:@ngs.rky.kuy

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