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Tips 2019.01.29

プレートランチを美味しそうに撮るコツとは?〜代々木八幡『Shelter KUKO cafe & gallery』〜

【フードフォトテクニックvol.4 〜代々木八幡・ヘルシーカフェ『Shelter KUKO cafe & gallery』 〜】
ミラーレス一眼カメラXシリーズで“料理写真を美味しそうに切り取る”撮り方テクニックを、都内の気になるお店の情報とともに紹介する連載企画『フードフォトテクニック』。スマホのカメラでも応用できる、構図のポイントや上手に撮るためのちょっとしたコツもご紹介します。今回は、代々木八幡・公園駅から徒歩5分のオーガニックカフェ『Shelter KUKO cafe & gallery(シェルター クコカフェ&ギャラリー)』さんにお邪魔しました。

今回訪れたのは代々木八幡のヘルシーカフェ〜Shelter KUKO cafe & gallery〜

今回訪れたのは、小田急線・代々木八幡駅からほど近い「Shelter KUKO cafe & gallery」。静かな路地のビルの2階、軒先に出された看板と外からでも店内の様子が伺える大きなガラス張りが目印です。

店内には、ゆったりと腰掛けられるソファ席にカウンターと8人掛けの大きなダイニングテーブルがひとつ。たっぷり射し込む陽の光と植物たちの揺らぎに心が緩む、温室のような心地よさ。スマホはしまって、ぼんやりと。それがここでの正しい過ごし方なのだと自然に思わせてくれるような空間です。

X-T20(camera)/ XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS(lens)/ ASTIA/ソフト(フィルムシミュレーション)

X-T20(camera)/ XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS(lens)/ ASTIA/ソフト(フィルムシミュレーション)

代表を務めるのは、横山さんと石原さんのお二人。大学時代、同じサークルに所属していたことが縁で、二人で海外を旅するほどの仲に。大学卒業後、それぞれ医療の道に進んだ二人が「Shelter KUKO cafe & gallery」をスタートさせたのは、2017年6月のこと。 そのきっかけは、「患者さんやその家族がくつろげる場所をつくりたい」という、同ビル1階にある医療クリニック院長からの提案だったといいます。

「このビルは、1階に末期がん患者さんの放射線治療、お店の隣にがんの免疫治療の施設が入っているんですけど、もともと私が1階にあるクリニックで働いていたんです。当時、別のお店が入るはずだったこの一画が空いてしまったということで、院長から『何かやってみないか?』と持ちかけていただいて。病院の中にある食堂というよりは、開かれた場所にしたいということで、一般の方にも普通に来てもらえるような場所にしました(横山さん)」

X-T20(camera)/ XF56mmF1.2 R(lens)/ PRO Neg.Hi(フィルムシミュレーション)

お店づくりをするうえで大きなヒントとなったのが、二人で出掛けた旅先での体験。宿泊先のバーや地元のお店でさまざまな人々と交流するなかで、「いつかこんなふうにリラックスして人と集える場所が作れたらいいね」と話していたこともあったそう。実際、ひとりで来店されたお客さん同士が会話する場面を見かけることもよくあるのだとか。

そして、医療とカフェ経営という一見かけ離れた業種のように思えるこのふたつに共通するものも「コミュニケーション」 だと石原さんは言います。
「自分の想いを言い出せなかったりすることって、どんな人にもあると思うんです。そんなときにたまたまここで出会った人とコミュニケーションをとることによって、ちょっとしたモヤモヤが解決すればいいなと。女性のためのがんに関する交流会なども開催しています。クリニックに通う患者さんにとっても、そうじゃない方にとっても『拠りどころ』という意味では一緒なのかなと思ったりしています。(石原さん)」

X-T20(camera)/ XF56mmF1.2 R(lens)/ クラシッククローム(フィルムシミュレーション)

店名にもあるとおり、ギャラリーの側面もある同店。この日は入れ替えのタイミングで展示はなかったものの、表情豊かなドライフラワーたちが空間に華を添えていました。月に1度のペースでアーティストの作品が入れ替わりに展示されるため、そのたびに店内の雰囲気もガラリと変わるのだとか。ここでは柔らかいボケ味が特徴の、ポートレートに適しているレンズ「56mmF1.2 R」をあえて使い、前ボケをいれつつ、硬い印象のドライフラワーにしなやかさを加えました。

X-T20(camera)/ XF56mmF1.2 R(lens)/ クラシッククローム(フィルムシミュレーション)

X-T20(camera)/ XF56mmF1.2 R(lens)/ クラシッククローム(フィルムシミュレーション)

フィルムシミュレーションを使い分け、料理の色味を魅力的に表現するフォトテクニック

「Shelter KUKO cafe & gallery」でいただけるのは、有機・無添加にこだわった旬の野菜が中心のプレートとオリジナルカレー。身体にやさしいのはもちろん心まで満たしてくれるおいしいランチは、女性はもちろん身体を気遣う男性にもファンが多いのだとか。

旬の野菜のOne Plate」は、自家製ドレッシングをかけたサラダに、ヤーコンのココナッツソース和えや紅芯大根のバルサミコ酢漬け、あやめ雪かぶの塩麹和えといった普段口にする機会の少ない野菜も取り入れられた4、5種類のお惣菜、72時間以上寝かせたもちもち玄米のおいなりさんが載ったボリューム満天のひと皿。「本当においしい野菜を食べてもらうことで、オーガニックやヴィーガンといったさまざまな食のスタイルを無理なく自分なりに取り入れるきっかけになれば」と、キッチンに立つシェフの桧山さんは言います。

X-T20(camera)/ XF35mmF2 R WR(lens)/ ASTIA/ソフト(フィルムシミュレーション)

今回も前回同様に食べものとドリンクはテーブルフォトにぴったりのレンズ「35mmF2 R WR」で撮影。自然光の入る窓際の席で、鮮やかな色合いをそのまま映し出せるようフィルムシミュレーション「ASTIA」に設定し、お皿に盛られたお惣菜がすべて見える角度を意識し、ひとつひとつ丁寧に調理された食材の美しさを感じさせる一枚に仕上げました。

ごぼうとひよこ豆が入ったトマトベースのスパイシーなカレーと、ほんのり甘いほうれん草のココナッツカレーが一度に楽しめる「季節のグリル野菜のせ 2種Curry」は、横山さんと石原さんが試行錯誤を重ねてつくった逸品。使われているのは、スリランカ産の有機スパイス。島根県産仁多米コシヒカリの玄米ごはんとシャキシャキの有機人参ラペ、栄養たっぷりのグリル野菜と、さまざまな味・食感が楽しめる大満足のひと皿です。

X-T20(camera)/ XF35mmF2 R WR(lens)/ ASTIA/ソフト(フィルムシミュレーション)

ここでもフィルムシミュレーションは「ASTIA」に設定。このカレープレートのように色味がカラフルな料理は、直接強い照明が当たると毒々しい印象になってしまうことも。その場合、照明に背を向けて自分の身体で光を遮るのもひとつのテクニック。ただし、影が見切れてしまわないように、フレームに入る範囲をすべて覆うのが大切なポイントです。

食後は、ドリンクを2品。ひとつめは、奈良の伝統的名産品である吉野本葛を使った、心も身体もじんわりあたためてくれる信州りんごと生姜のくず湯。シロップの沁みた信州りんごがたっぷり入った、寒い季節のとっておきです。

X-T20(camera)/ XF35mmF2 R WR(lens)/ ASTIA/ソフト(フィルムシミュレーション)

もうひとつは、有機黒砂糖と有機ココアパウダーを使用した「オーガニックジンジャーチョコレート」。こっくりと濃厚ながらも甘さは控えめ。生姜も入っているので、ひと口飲むごとに身体が内側からぽかぽかあたたかくなってきます。

X-T20(camera)/ XF35mmF2 R WR(lens)/ PRO Neg.Hi(フィルムシミュレーション)

ここではドリンクの色味に応じてフィルムシミュレーションを設定。赤いクコの実がワンポイントの葛湯ドリンクは、やさしい色合いをそのまま映し出す「ASTIA」、ジンジャーチョコレートのコクのある色は「PRO Neg.Hi」で表現。グラスの透明感を意識した明るさの露出もポイントです。

「身体的な痛みだったりと違って、心のモヤモヤなんかはなかなか病院に行きづらい。その一歩手前で、少しここでリラックスして『すっきりしたからもう少しがんばってみよう』と思ってくれる人たちが増えてくれるといいなと思っています(横山さん)」。慌ただしい現実から少し離れて自分を見つめ直すための「避難所」。ここには自分を見つめ直すための時間が流れています。

今回は、心身ともにメンテナンスしてくれるオーガニックカフェのごはんを「X-T20」で切り取ってみました。栄養たっぷりの野菜を食べて、ゆったりと過ごせば、お店を出る頃にはきっとやさしい気持ちで満たされているはず。もしも忙しい毎日に疲れてしまったときは、ぜひ「Shelter KUKO cafe & gallery〜」へ。

【今回登場したテクニック】

・「ASTIA」に設定し、自然光を生かして撮影することで素材の色味を引き立てる
・照明が強い場合、自分の体で照明を遮るのも良い
・撮影するドリンクに合わせてフィルムシミュレーションを変えることでより魅力的に表現

Spot Information

Shelter KUKO cafe & gallery

住所:東京都渋谷区元代々木町33-12 SHELT’N 2F
電話番号:03-5738-8025
https://kukocafe.wixsite.com/mysite

今回登場したカメラ

FUJIFILM X-T20

「フードフォトテクニック」の記事はこちら

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text by 野中ミサキ(NaNo.works)
photo by こばやしかをる

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